今回は肩(三角筋)の筋トレで筋肉痛にならない原因を解説していきます。
他の部位は筋肉痛になるのに、なぜか肩だけがならない。
しっかりパンプだってしているはずなのに…。そんな悩みや疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
筋肉痛にならないと「上手く刺激が入っていないんじゃないか」って、とても不安になりますよね。
追い込み不足?骨格的な問題?それとも単に苦手なだけ?
考えられる原因は沢山ありますが、今回はもっと根本的なところに焦点を当てます。
肩の筋肉の特徴をしっかり把握することでとても理解が深まりますので、是非お付き合いください。
目次
肩の筋肉を知る
肩の筋肉はざっくり前部・中部・後部に分けることができ、全体の体積は大胸筋よりも大きいと言われています。
速筋繊維/遅筋繊維の割合は諸説ありますが、約45%/55%といったところです。
おさらいですが、
【速筋繊維が多い筋肉群】
エキセントリック(ネガティブ・伸展)の動きが効果的でパワー・筋肥大を得られる
【遅筋繊維が多い筋肉群】
コンセントリック(ポジティブ・収縮)の動きが効果的で持久力を得られる
と言われています。
肩の筋肉は、さほど速筋繊維と遅筋繊維の比率に大差がないので、高重量・低回数のエキセントリック重視の種目でも低〜中重量・高回数のコンセントリック重視の種目どちらも有効になります。
つまり、サイドレイズでネチネチ追い込むもよし!ショルダープレスで高重量を扱うもよし!ということになります。
ではなぜそのやり方でも筋肉痛にならないのでしょうか?原因は他にあるということですね。
どうすれば筋肉痛になるのか
対象筋が筋肉痛になる為には、速筋繊維へのエキセントリックでの強い刺激が必要不可欠になります。
肩トレの種目を思い浮かべていただきたいのですが、サイドレイズ(フロント・サイド・リア)、ショルダープレス、アップライトロウなど。どれをとっても満足にエキセントリックの強い刺激を得られる種目ではないのです。
例えば、肩トレ種目の大道であるサイドレイズは、腕を横に広げて下ろしていく時の角度が45度以下になると、ほとんど負荷がかかりません。
肩の筋肉はとても繊細で怪我の多い部位である一方で、筋繊維が伸びている感覚をとても感じ取りやすい筋肉でもあります。
しかし、肩トレ種目そのものがエキセントリックの動きと相性がいいものが少ないので、いくらボリュームを増やしても中々筋肉痛にならないということになります。
もっと種目を工夫する必要がありそうです。
筋肉痛になりやすい種目
おすすめの種目が、インクラインサイドレイズ・ハイシーテッドショルダープレス・インクラインリアレイズです。
インクラインサイドレイズ
肩の中部を鍛える種目です。
この種目はエキセントリックの動きにとても相性がよく、軽い重量でも充分筋繊維の伸びを感じることができます。
自分の身体そのものを負荷がかからなくなる45度に合わせることにより、それが可能になります。
動作のポイントは、背中が丸まると腕を下ろしてきた時の筋繊維の伸びが弱くなるので、しっかり胸を張って目線を下げないよう注意してください。
肘は真っ直ぐに伸ばせば伸ばすほど負荷を大きくすることができるので、肘は軽く曲げるくらいにしましょう。
ベンチ台にもたれ掛かる時は両足を地面に付けてもいいのですが、動作する腕の逆側が押し潰されて窮屈になるので、出来るだけシートに正座するようなポジションを取った方がいいと思います。
メインはコンセントリックの動きなので、腕を上げる時は地面と平行かそれより少し上に上げる程度でいいと思います。
上手く動作出来ているかどうかの目安としては、腕を下ろす時に肩の筋繊維がミシミシいってる感覚があればとてもいいと思います。
腕を下ろす時は4〜5秒ほど時間をかけてください。
おそらく、ダンベル10kgですると10回するのもとても難しいと思います。セットも2セットもすれば充分なくらいです。
ハイシーテッドショルダープレス
肩の前部と中部を鍛える種目です。
どの部位においても高重量種目は入れたいところなので、そこはショルダープレスで補います。
普通のショルダープレスをする時にシートの位置を高くして、より肩の筋肉を伸ばすことに重点を置くだけなのですが、高重量を扱える分強烈な筋肉痛が期待できます。
シートの位置を調整するのでフリーウェイトよりはマシンがメインになりますが、いつもより二段階くらいシートの位置を高くして、腕を下ろす時はこれも4〜5秒ほど時間をかけてください。
応用編としては、スミスマシンを使ったリバースグリップ(逆手)でのショルダープレスがおすすめです。
シートは出来ればパッドを敷くなどして位置を高くし、肩幅より少し広めに握ります。下ろす位置はバーが少なくとも顎より下にくるくらいまで下すとかなり負荷がかかります。
リバースグリップ(逆手)で握る理由としては、肩関節を外旋させた状態で動作を行うことができ、怪我を防止しつつ安全に重量を扱うことができるからです。
インクラインリアレイズ
肩の後部を鍛える種目です。
シートに角度をつけ、逆向きに座り動作します。比較的高重量を扱えますが、腕を上げる時に僧帽筋や広背筋に刺激が逃げないように、あまり肩甲骨を寄せずに腕と脚をだらんとさせた状態で動作を行ってください。
ダンベルは真っ直ぐに持つと肩の中部も一緒に鍛えられますが、横に持って肩の後部をダイレクトに鍛えることをおすすめします。
腕を下ろす時はこれも4〜5秒ほど時間をかけてください。脚であまり踏ん張らないことで、肩後部への刺激が強くなります。
上げる時は円を描くようになるべく腕を遠回りさせるように上げていきます。
また、グリップはサムレスで握ることでより肩後部を意識しやすくなります。
肩トレの注意点
肩が筋肉痛になるコツがわかったら後は実践していくのみですが、肩の筋肉はとても繊細です。トレーニング時には注意が必要なので、そこも併せて説明します。
僧帽筋に負荷が逃げる
一番多い悩みではないでしょうか。
骨格的に鎖骨が短く肩幅が狭いビルダー体型の人は、レイズ系の種目で負荷が僧帽筋に逃げやすいです。
特に、重量が上がれば上がるほど反動を使って重量を上げようとするので、肩の筋肉を意識するのが苦手な方は、まずは軽い重量で確実に肩に負荷をかけることを意識しましょう。
大胸筋や背中や腕などと違い、肩は意識して力を入れるのが難しいと思います。
両手を腰に当てて固定し、肘を身体の前側に持ってくるポーズを取ると、肩の筋肉に力を入れる感覚がわかります。セット間で試してみてください。
インピンジメント症候群
肩は怪我が多い部位なので、インピンジメント症候群には特に注意してください。
インピンジメント症候群とは、インナーマッスルなどに炎症が起き、腕を少し上げるだけでも肩に痛みが出る症状です。
腕を上げた時に肩に何か引っ掛かるような痛みが出たら、インピンジメント症候群を疑ってください。
投球動作を行う野球選手に多い症状ですが、筋トレをしている人にも起こります。
野球の投球動作のテイクバックの動きと、肩トレのアップライトロウの動きはとても似ています。比較的高重量が扱えるアップライトロウを行う際は充分注意してください。
まとめ
思い当たる節はあったでしょうか。
骨格などによる苦手意識はあるにせよ、トレーニングのレップ数やセット数が原因ではなさそうです。
種目そのものを見直してみてはいかがでしょうか。
きっと強烈な筋肉痛がくると思います。
是非お役立てください。