広がりのある逞しい背中を手に入れる為の大道種目に、チンニングとラットプルダウンがあります。
一見同じような動きをしているように見える種目ですが、違いはフリーウエイトかマシンかだけではありません。
より効果的に背中の筋肉を発達させる為にも違いを理解し、上手く使い分けられるようになりましょう。
どこの筋肉を鍛えられるのか?
オーソドックスなやり方でのチンニングやラットプルダウンは、基本的に背中の厚みをつけるというよりは、背中の広がりをつけるトレーニングになります。
具体的に、ターゲットとなる筋肉は主に広背筋と大円筋です。
広背筋は上の図のように、骨盤から上腕骨に向かって生えています。
そして、この筋肉を鍛えることにより、後ろから見た時は逆三角形・前から見た時は羽が生えてるように見えます。
大円筋は広背筋の動きを支える筋肉で、広背筋の少し上に位置します。
小さい筋肉ではありますが、背中の広がりをつける上で欠かせない重要な筋肉です。
そして、広背筋・大円筋に一番強い負荷がかかるポジションが、骨盤と上腕骨の距離が遠くなった時。
つまり、しっかりストレッチされて伸びている時です。
広背筋・大円筋は、ネガティブ重視でしっかりストレッチされる種目との相性がいいので、それを念頭に置きながら本題に入りましょう。
チンニングvsラットプルダウン
結論から言うと、チンニングの方が広背筋・大円筋のトレーニングに適しています。
【理由】
- ネガティブの刺激が強い
- スタビライザー(補助筋)を使う
ネガティブの刺激が強い
広背筋・大円筋はしっかりネガティブ動作でストレッチさせることが重要だとお話ししましたが、チンニングはネガティブの刺激が強く、マシンだとネガティブの刺激が弱くなります。
その理由は、マシンには摩擦が生じるからです。
例)マシンと仕組みが似ている井戸を例に説明します。水を汲んだバケツ(重り)を一定のスピードでロープで上げ、同じスピードでバケツをロープで下ろす作業をすると仮定します。
バケツを上げる時(ポジティブ)は、バケツの重さとロープが滑車にすれる時の摩擦の重さがかかる分、強い力で上げなければいけません。
対して、バケツを下ろす時(ネガティブ)は、ロープが滑車にすれる摩擦で少しグリップが効く分、弱い力で下ろすことができます。
つまり、マシンは構造上、ポジティブが強くネガティブが弱いということになります。
しかし、フリーウエイト(自重)であれば摩擦がない分、常に一定の負荷がかかる為、ネガティブでより強い刺激を与えることができます。
スタビライザー(補助筋)を使う
チンニングは動作を行う時に、身体が前後に揺れないようバランスを取る必要があると思います。その時に、広背筋だけでなく自然と身体全体の筋肉も動員されています。
その為、広背筋中心のトレーニングでありながら、多くの筋肉を同時に鍛えることができ、神経・筋繊維により多くの刺激を与えられる優れた種目です。
ラットプルダウンの場合だと、身体をシートに固定できるので、広背筋・上腕二頭筋が中心で他の筋肉の動員はほとんどありません。
チンニングは支点が両手の2点しかないのに対し、ラットプルダウンは支点が両手両足の4点あるのが大きな違いです。
その分、チンニングの方が難易度は高くなりますが、ラットプルダウンよりもチンニングを極めることを強くおすすめします。
もし、チンニングができないという場合は、ポジティブ動作は捨ててもいいので、ジャンプして身体を持ち上げ、ネガティブ動作でゆっくり下ろす(ストンと落ちないよう踏ん張る)練習をしてみてください。徐々に感覚を掴めると思います。
使い分けもOK
- ポジティブ重視→ラットプルダウン
- ネガティブ重視→チンニング
先述したことを踏まえて、こんな具合に使い分けるといいと思います。
注意点としては、ラットプルダウンはポジティブ重視の種目で、重りを上げる(引っ張る)時に力を発揮しますので、上腕二頭筋が動員されやすくなります。
つまり、広背筋に効かせるのが苦手で上腕二頭筋の力が強い人は、ほとんど腕の力で高重量を扱えます。
チンニングは苦手だけどラットプルダウンは得意、ラットプルダウンは苦手だけどチンニングは得意という方がいるのもそのためです。
しっかりターゲットとなる広背筋に刺激が入っているかを確認しながら行うようにしましょう。
最適なトレーニング方法
広背筋は速筋・遅筋の比率が同等なので、高重量低レップでも低重量高レップでもいいと思います。
色々と試して自分の骨格に合ったトレーニング方法を見つけてみてください。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。
広背筋は身体の中でも硬くなりやすい筋肉なので、日頃からストレッチすることも忘れないようにしましょう。
是非参考にしてください。
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